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どうもdeamuです。

最近音楽業界を賑わせているのがサブスクリプション、通称サブスク
音楽においては、一月毎に一定の額を支払うことで配信されている楽曲・アルバムが聴き放題になります。サービスの一例としてはSpotify、Apple Music、LINE MUSIC、AWA、amazon musicなど。

日本においては元々は参加アーティストが少なかったのですが、ここ1、2年でMr.Children、スピッツ、松任谷由実、小田和正、L'Arc~en~Ciel、嵐、buck number、星野源、サザンオールスターズなどの大物アーティストが続々参入し話題を集めています。

好きなアーティストのどんな曲でもまとめて聴けたり、新曲を大量にチェックしたり、新たな歌手を開拓したり…サブスクの登場によって、従来のレンタルや中古購入ではなかなかできない音楽の聴き方が容易にできるようになりました。

そんなサブスクにも個人的には大きな欠点があります。それが…


売れなかった過去の歌手には相変わらずスポット当たらない!


これです。ナウで駆け出し中、売り出し中のアーティストをサブスク使って漁りまくっている人はネット上でも多く見かける上に、そういう歌手はメディアで陽の目を見るチャンスだってあるのに、売れないまま既に解散した歌手をサブスクで漁っている人ってあまり見かけない気がするんですよね(漁っとるわアホウって人ごめんなさい)。

この状況では先人たちがあまりにも不憫なので…今回は完全に主観で過去の歌手の隠れた名盤にスポットを当てて再評価して参りたいと思います。

対象とする条件は以下の通り。

①CDでミリオンを売った曲・アルバムが0
②アーティストお気に入り登録数が1,000以下
③該当アルバムのお気に入り登録数が1,000以下
④既に一度は解散・活動休止・引退・インディーズに戻る、のいずれかを経験している

私はLINE MUSICを利用しているのでそちらを参考にします。上記4つの条件に当てはまる個人的名盤を紹介して参ります。今回は1990年代から3枚。90年代というとCDが売れに売れた時期ですが…隠れ名盤、たくさんあります。




MOON CHILD「POP AND DECADENCE」(1999)

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当時のポストミ○チル最右翼が解散間際にドロップしたド変態アルバム

MOON CHILDといえば'97年に「ESCAPE」をヒットさせた4人組バンド。同曲同年発売のは2nd「MY LITTLE RED BOOK」に収録されいるが、こちらは'99年1月発売の3rdアルバム。発売翌日に解散を発表、同年内に解散している。

ESCAPEや以降2シングルの「ポストミ○チル」とも目されたストレートなポップ性から一転、バンドとしての触れ幅の大きさ、多彩さを見事に発揮した一枚

吹っ切れたのだろうか?ストレートな曲こそ減ってしまったものの、演奏の巧みさ、楽曲としての美しさは格段に上がっている。特に「requiem for the man of nomad」の演奏の躍動感、「グロリア」の癖になるリズム。この辺りはたまらない。
全体として過去作以上に癖の強さを感じるため聴く側にもそれなりの覚悟がいる一作だが、その変態じみた魅力に一度取り憑かれたら…あなたはもう帰ってこられないだろう

「ESCAPE」から解き放たれた、良い意味で自由奔放な名盤だ。
15曲の長い旅の果て、名曲「STAR TOURS」に辿り着くと見える不思議な景色をあなたも一度、ぜひ。

POP&DECADENCE
MOON CHILD
1999-01-27



POP & DECADENCE
2012-08-03





ザ・カスタネッツ「MARKET」(1998)

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素朴ながら心に強く訴えかけてくる、歌声、演奏、リリックの魅力

'95年デビューの4人組バンド。アンティノスレコーズということでレーベルメイトにはT.M.Revolution西川がいる。現在はインディーズで活動中。

私が今までチェックしてきた中でこのバンド以上に技術だけで評価してはならないバンドは存在しないと断言できる。私自身が他者を技術で評価できるほどなのかは別問題だが…。いずれにせよ、このバンドは歌声、演奏どちらも上手いか下手かを超越する魅力に溢れている。

Vo.牧野の暖かさ、優しさ、切なさ、寂しさ…そんな感情を全て詰め込んだような歌声は天下一品。昨今カラオケ的な歌うまが持て囃される風潮を感じるが、そんなものを簡単に吹き飛ばしてしまうのではないか?と思えるくらい、人の心に真っ直ぐに響いてくるであろう、心からの歌声なのだ。

あまり派手に着飾らない素朴な演奏が、メロディーの良さをより引き出している。そこに上記のような牧野の歌声が合わさると、もう鬼に金棒。

牧野は情景が浮かぶソングライティングも天才的。メロディーに自然に当てはまっている上に詩的だから美しい。英語を使わずに日本語一本で勝負している点も尊敬したい。

テクニックだけが音楽じゃない。テクニックを貶す気など毛頭ないが、本当に凄い音楽というものはどれだけ素朴でも心に強く訴えかけてくるのものなのではないだろうか。あるいは、技術的なことをしていても"テクニック"という形で現れないのかもしれない。カスタネッツを聴くと、いつもそう感じるのだ。

アルバムの話題から逸れてしまったが、このアルバムのMVPはド頭の「ムーンパレス」。春の初め、一人暮らしを始めた男の様を文学的に描き、歌っている。これからの季節にピッタリの傑作だ。
7曲入りのミニアルバムだが、捨て曲はゼロ。初めて聴いたあの日から、最初から最後まで何度も何度も聴いてしまう…素朴ながら強いパワーを秘めたアルバムである。


このアルバムのサブスク解禁はソニーの「DISCOVER the 90's」という配信対象の企画で行われた。ザ・カスタネッツは第2弾アーティスト。現在までに第4弾まで展開されている。こちらも要チェックだ。

discover90s_logo

MARKET
ザ・カスタネッツ
1998-05-20


MARKET
2019-10-25



相馬裕子「愛が教えてくれたもの」(1994)

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美しい旋律と可愛らしく丁寧な歌声が、「普通」を褒め言葉に変える

'91年デビューの女性歌手。1990年代、密かにファンを付けていた「ガールポップ」ムーブメントの中の一人。'96年に「星に願いを」を小ヒットさせているが、本作はそれより前の'94年発売のアルバム。現在は公式サイトこそ残っているが音楽活動自体はほぼ停止状態だ。

普遍的な良曲が大量生産されたガールポップムーブメントの中でも、彼女の曲は一際「普通」。とびきり元気!というタイプではないし、暗さや強さを打ち出し独特な個性をアピールするタイプでもない。

しかし、美しいメロディーライン、普遍的ながらよく練られているアレンジ、そして相馬自身の可憐さを含んだ丁寧な歌声が見事に合致して、輝きを放っている。Aメロ、Bメロ、サビの展開がきっちりとしていながら陳腐に感じない点がまた、ポップ畑の人間としてはたまらないのだ。「普通」という言葉も、彼女の作品の前では褒め言葉に一変してしまう。聴いているうちに、控え目ながら確かに持っている輝きにどんどん惹かれていく名盤だ。

愛が教えてくれたもの
相馬裕子
1994-04-01



今回の隠れた名盤紹介は以上です。気になった作品はございましたか?今回紹介したアルバムは大半のサブスクリプションで配信されているはずなので、ぜひ一度聴いてみてください。既に知っていたという方も、この機会にもう一度聴き直してみてはいかがでしょうか。

この企画はまだまだ続きます。次回をお楽しみに!